ラグビーをしていると、「もっと体を大きくしたい」と考える選手は多い。
ベンチプレスの重量を伸ばしたい。
スクワットを強くしたい。
腕を太くしたい。
体重を増やしたい。
もちろん、これらはラグビー選手にとって重要なことだ。
しかし、「筋肉が大きくなった=ラグビー選手として強くなった」ではない。
ラグビーは、80分間走り続けながら、走る・止まる・ぶつかる・押す・引く・倒す・起き上がるといった動作を何度も繰り返す競技だ。
だからこそ、筋トレも「ただデカくなる」ことを目的にするのではなく、自分のポジションやプレースタイルに必要な能力を考えて行うことが重要だと思う。
筋トレには種類がある
筋トレと一言で言っても、その目的は一つではない。
大きく分けると、
- 筋肥大
- 最大筋力
- 筋持久力
などがある。
筋肥大
筋肉そのものを大きくするためのトレーニング。
例えば、
- ベンチプレス
- ダンベルプレス
- スクワット
- ブルガリアンスクワット
- 懸垂
- ロウ系種目
など。※これらの種目にもそれぞれ筋肥大・最大筋力・筋持久力系のやり方もあるが
ラグビー選手にとって筋肉量を増やすことは、コンタクトの強さや当たり負けしない体を作るうえで重要だ。
特に体重が必要なポジションでは、適切な筋肥大は大きな武器になる。
ただし、ここで注意したいのが、筋肉を増やすこと自体が目的になってはいけないということ。 ※もちろん大事だが
「去年よりベンチプレスが20kg伸びた」
「体重が10kg増えた」
という数字は分かりやすい。
しかし、それによって、
「タックルが強くなったのか?」
「コンタクトで前に出られるようになったのか?」
「80分間動けるようになったのか?」
まで考える必要がある。
最大筋力
「どれだけ大きな力を一瞬で出せるか」という能力。
例えばスクワット100kgを1回できる選手と、150kgを1回できる選手では、単純に考えれば後者の方が大きな力を発揮できる可能性がある。
ラグビーでは、
- タックル
- ヒット
- スクラム
- ブレイクダウン
- 相手を押し込む
- 相手を止める
など、一瞬で大きな力を発揮する場面が多い。
そのため、筋肥大だけでなく「強い筋肉」を作ることも重要になる。
例えば、
- クリーン
- スナッチ
- 高重量スクワット・ベンチプレス etc
- 挙上を早くするスクワット・ベンチプレス
筋持久力
意外と忘れられがちなのが筋持久力。
例えば試合終盤。
80分間走り続けて、何度もコンタクトを繰り返した後でも、タックルに入り、起き上がり、もう一度走らなければならない。
そこで、
「ベンチプレスは100kg挙がるけど、後半になると体が動かない」
では意味がない。
ラグビーでは疲労した状態でも力を発揮できることが重要だからだ。
だからこそ、筋トレだけでなく、走力や反復的な動作も含めて鍛える必要がある。
例えば、
- 低負荷・高回数: 1セット15回から30回できる軽めの重さや自重で行う。
- 短いインターバル: セット間の休憩時間を短くして、筋肉が回復しきる前に次を行う。
- 限界まで続ける: 毎セット、筋肉が「辛い」と感じる限界の近くまで追い込む。
- スロートレーニング: 動作をゆっくり行い、筋肉に負荷をかけ続ける時間を長くする。
「じゃあ、何をやればいいの?」

ここで重要なのは、全員が同じ筋トレをする必要はないということ。
例えばFWとBKでは求められる能力が違う。
FWなら、
- 下半身の最大筋力
- 上半身の筋力
- コンタクト能力
- スクラムで力を出し続ける能力
などが重要になる。
一方でBKなら、
- スプリント
- 加速
- 切り返し
- 体幹
- コンタクト後の動き
なども重要になる。
さらに同じFWでも、プロップとFLでは求められる能力が違う。
つまり、
「ラグビー選手だからこの筋トレをする」ではなく、「自分のプレーに何が必要なのか」から逆算することが大切だ。
筋トレだけでは強くならない
ここまで筋トレの話をしてきたが、個人的にはラグビー選手が一番意識すべきなのは、筋トレ・食事・リカバリーの3つをセットで考えることだと思う。
どれだけ良いトレーニングをしても、食事を適当にして、睡眠を削っていたら体はなかなか成長しない。
食事

筋肉をつけたいなら、トレーニングだけでは足りない。
トレーニングによって筋肉に刺激を与え、食事から必要な栄養を摂り、休んで回復する。
この繰り返しによって身体は変わっていく。
特に意識したいのが、
- タンパク質
- 炭水化物
- 脂質
- ビタミン・ミネラル
- 水分
など。
「筋肉をつけたいからタンパク質だけ摂る」というのも違う。
ラグビーは運動量が非常に多い競技だから、エネルギー源となる炭水化物も重要だ。
トレーニングを頑張るほど、食事もトレーニングの一部になる。
リカバリー

そして忘れてはいけないのがリカバリー。
筋トレをした直後に筋肉が強くなるわけではない。
トレーニングによって身体に負荷をかけ、そこから回復していくことで、次のトレーニングに耐えられる身体を作っていく。
だからこそ、
- 睡眠
- 栄養
- 休養
- ストレッチ
- 入浴
- 疲労状態の確認
なども重要になる。
特にラグビー選手は、筋トレだけではなく、練習、試合、ランニングなど複数の負荷が重なる。
「昨日より今日、今日より明日」と毎日追い込めばいいわけではない。
強くなるためには、休むこともトレーニングの一部だ。
ラグビー選手が意識したいこと
ここまでをまとめると、ラグビー選手の身体づくりで大切なのは、単純に体重や筋肉量を増やすことではない。
自分に必要な能力を考える
「周りがベンチプレスをやっているから自分もやる」ではなく、
自分のプレーに何が足りないのか?
を考える。
筋肥大だけを目的にしない
大きな筋肉は武器になる。
しかし、
大きい=強い=ラグビーが上手い
ではない。
筋肥大、最大筋力、筋持久力などをバランスよく考える。
筋トレを競技につなげる
筋トレの数字を伸ばすことは目的ではなく、あくまで手段。
「スクワットが何kg伸びたか」だけでなく、
「その結果、プレーがどう変わったか」
を見る。
食事を軽視しない
トレーニングだけ頑張って食事を適当にするのはもったいない。
身体を作る材料は食事からしか得られない。
リカバリーを大切にする
休むことはサボることではない。
次の練習で100%の力を出すための準備だ。
「ただデカくなる」から「使える身体」へ

ラグビーを始めたばかりの頃は、体が大きくなったり、筋トレの重量が伸びたりすると、それだけで成長を実感できる。
自分自身も、
「体重を増やしたい」
「もっと筋肉をつけたい」
「ベンチプレスを伸ばしたい」
と考えていた。
もちろん、それ自体は悪いことではない。
むしろラグビー選手にとって身体を大きくすることは大切だ。
ただ、競技レベルが上がるほど、**「どれだけデカいか」よりも「その身体をどう使えるか」**が重要になってくる。
100kgの身体を持っていても、動けなければ意味がない。
逆に、同じ100kgでも、
走れて、当たれて、押せて、倒れても起き上がれて、80分間プレーできるなら、それはラグビーにおいて大きな武器になる。
筋トレの目的は、筋トレの記録を更新することではない。
ラグビーで勝つために、身体を強くすること。
そのために、
筋肥大 × 筋力 × 筋持久力 × 食事 × リカバリー
を一つのセットとして考えてみる。
ただ「デカくなる」ことから卒業して、「ラグビーで使える身体」を作る。
これが、ラグビー選手の筋トレで一番大切なことなのではないだろうか。



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